10月18日、さいたま市文化センターにて「EMBERS 燃え尽きぬものら」の幕があがりました。
キャストお三方のコメントとともにどうぞ!



過去の愛の苦しみ、しかも燃え尽きることがなかった強い想いにどう決着をつけるか、それは誰しもが経験するであろう普遍的なテーマともいえますね。
18世紀のフランスの歌曲でジャン・ピエール・クラリス作詞、ジャン・ポール・マルティーニ作曲の「愛の喜び Plaisir d'amour」という曲の一節に「愛の喜び それは一瞬の輝き 愛の苦しみ それは一生の痛み」
という歌詞があります。まさにヘンリックは友情と愛情、どちらもかけがえのない「愛」を一挙に裏切りという形で奪われ、その事は彼に一生分の痛みを伴い、40年間燃え尽きることなく燻る炎となったのでしょう。

この『エンバース』は老人の口から語られるからこそ表現される愛の尊さや、取り戻すことができない かけがえのない愛が凝縮されています。
そしてその過去に、今75歳になった2人が向き合い、真実を紐解いていくというストーリーにサスペンスとしての要素があり、ある種の謎解きのような面白さもあります。
真実へのカギとなるのはコンラッド自身の記憶と、そして封をされたまま未だ読まれることがなかったクリスチナの日記の存在。封がされた日記を前にした男達の葛藤はクライマックスへと物語を突き動かし、一つの決着にむかいます。そこにはクリスチナに向けたヘンリックとコンラッドの燃え尽きることのない深い愛を感じることができるのではないでしょうか。



私にとってこの「エンバース」は、ニーニが生きてきた91年という時間をいかに体に取り入れられるかという挑戦の舞台です。
もちろん91歳という年齢は未知の世界ですが、ニーニがヘンリックと共に生きてきた時間からじわりとにじみ出るようなヘンリックへの深い愛情に満ちたニーニを表現できたらと思います。


今回1年半ごしにコンラッドを演じるにあたって考えるのは、「真実」と「過去」が一体どれほどこの男達の人生において重要なことだったのかということ。
40年越しの再会で当時の想いが枯れることなく、男の心に再び火を灯す、という構図は時代や国に関係なく、僕自身とてもこの作品の面白いと思うところです。
そこに75歳という年齢が加わり、人生の厚みや若かりし日の情熱が溶け込まれ、2人の「過去の真実」へ想像力を掻き立てられますね。

『EMBERS 燃え尽きぬものら』の今後の公演スケジュール
 ■10月28日:福岡エルガーラホール
 ■10月30日・31日:新神戸オリエンタル劇場
 ■11月2日〜4日:北海道道新ホール
 ■11月7日:湘南台文化センター
 ■11月10日〜11月16日:俳優座劇場
 ■11月18日〜11月30日:北海道ツアー
 

皆様のご来場を心よりお待ちしております!


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